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業種別自主行動計画点検(流通業:スーパー・コンビニ) スーパーマーケット、コンビニ業界の、自主行動計画対応を検証する

物流業界全般

物流の効率化を目指す、いわゆる改正物流2法が2024年5月15日に公示され、改正流通業務総合効率化法が6月1日から、改正貨物自動車運送事業法が2024年8月1日から施行されることが決定しました。

荷主、物流事業者には物流効率化が努力義務化されるとともに、一定規模以上の特定事業者のうち荷主には、物流統括管理者の専任も義務付けられます。また、多重下請構造の改善に向けた取り組みも、より具体化することが求められます。

こうした規制的措置には、すでに「自主行動計画」として対応することが求められていたこともあり、すでに物流改革に意識的な事業者ではその準備も整えられてきた状況だと思われます。自主行動計画という助走を経て、いよいよ本格的な物流改革へジャンプアップする段階になったと言えるのではないでしょうか。

スーパーマーケットの自主行動計画実行を牽引するSM物流研究会

スーパーマーケット、フランチャイズチェーンの領域でも昨年末の自主行動計画発表など、積極的な物流改革の取り組みが進んでいます。従来、小売は荷受け側であり物流に積極的に関与することも少なかったはずですが、これまでのようには物流を維持できない状況の顕在化も、こうした領域での取り組みを後押ししているようです。

スーパーマーケット各社を会員とする3つの団体も昨年末に共同の自主行動計画を公表し、政府の政策パッケージで示された効率化への段階を踏んだ実現はもちろん、企業規模に関係なく物流統括管理者の選任なども目標に掲げています。

なかでも、大手スーパー4社(サミット、マルエツ、ヤオコー、ライフコーポレーション)は、自主行動計画策定以前の2023年3月から「SM物流研究会」を発足させて物流改革の取り組みを協議し、現在その参加企業は15社にまで拡大しています。

同研究会では、「加工食品の食品定番商品の発注時間の見直し」「特売品・新商品の発注、リードタイムの確保」「納品期限の緩和(1/2ルールの採用)」「流通BMSによる業務効率化」「バース予約システムの導入と活用」「パレット納品の要請」「トップの合意」の7項目を重点取り組み課題として、具体的な荷待ち時間削減に取り組んでおり、2024年7月には参加企業すべてが7項目全ての対応を完了する予定としています。

また、3月度末で荷待ち時間を1時間以内とする効率化の目標に対して、各社物流センターの「荷待ち・荷役作業時間」を定点観測しており、「荷待ち1時間超過のトラック台数」は2024年2月時点で全体の8.1%、「荷待ち・荷役作業時間2時間超過のトラック台数」について8.3%と結果報告して、取り組みの成果とさらなる推進を報告しています。

バース予約システムの導入、パレチゼーションへの移行などの取り組みによって効率化の目標を達成するとともに、生鮮品での物流課題や、サプライチェーン全体の最適化を目指して製配販3層で組織するフードサプライチェーン・サステナビリティ・プロジェクト(FSP)との協議、連携などを深めていき、団体として掲げた自主行動計画の推進を牽引しています。

コンビニでも、効率化の模索続き「協調領域」での改革広がる

コンビニエンスストア各社が加盟する日本フランチャイズチェーン協会が昨年末発表した自主行動計画では、基本方針に「取引先等と連携した配送の効率化の取り組み(AI等を活用した配送ルートの見直し、共同配送の推進、配送センターの省人化の取り組み等)を実施する」ことが、協会の独自目標に掲げられ、専用の共同センターへの納品し、発注数に応じて店舗別にまとめて一括配送(さまざまな商品を混載)や、本・雑誌、タバコ、大手製パンメーカーなどは、コンビニエンスストア専用配送車ではなく、共同配送することなどが取り組み目標として示されました。

ローソンとファミリーマートは、宮城県、岩手県の各在庫拠点から秋田県の配送拠点への輸送便をそれぞれ運用していましたが、アイスクリームや冷凍食品の輸送においては両社の商品を同じトラックに混載し、共同で輸送することで車両台数を削減し、CO2排出量の削減ともなる取り組みを2024年4月から実施しています。これまで実証実験の形では、コンビニ3社の共同配送の検証が続けられてきましたが、本格的にローソンとファミリーマートが共同輸送を行うのは、初の試みとなり、今後も他エリアへの拡大なども検討していくとしています。自主行動で示された目標達成の一例と言えるでしょう。

前述のSM物流研究会では、物流分野においては「競争領域」ではなく、「協調領域」として取り組んでいくことを指針に定めています。メーカー単体では実現不可能な改革も、より大きな枠組みの中での解決が実現できるように、今後さらに大きな協調の輪が広がることも期待できそうです。

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