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物流が変わる——倉庫の高機能化と未来展望

物流業界全般

物流業界では少子化を背景に人手不足が深刻化しており、2024年問題と呼ばれる社会問題として浮上しています。このような事業環境の中で「物流を止めない」ためには、デジタルツールや自動化機器を有効に活用し、少ない人手で物流現場を回していく「労働集約型産業からの転換」が求められているともいえそうです。

しかし、大多数の物流企業は経営規模が小さく、各社が独自に投資する物流DXには限界があります。そこで、物流倉庫を含む「物流向けにサービスや商品を提供する事業者」が連携して物流企業や荷主企業の物流業務を支える仕組みが必要となってきます。こうした変化が生じることは、物流倉庫が高機能化していくと言い換えることが可能です。

すでにこのような動きは具体化しています。実例を紹介しましょう。

野村不動産株式会社 都市開発第二事業本部 物流事業部 副部長 兼 事業企画課長 藤﨑潤氏
野村不動産株式会社 都市開発第二事業本部 物流事業部 事業企画課 主幹 大月拓真氏
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(インタビュアー: 赤澤裕介LOGISTICS TODAY 編集長)
※記事はLOGISTICS TODAY による企画・取材をベースに加筆・修正したものです。

習志野 Techrum Hub(テクラム ハブ)

2021年4月に設置された「習志野 Techrum Hub」は、野村不動産が常設したソリューション展示会場であり、導入効果を検証するための拠点として重要な役割を果たしています。この展示会場のベースとなる異業種連携の枠組み「Techrum(テクラム)」は設立当初、3~4社からスタートしましたが、現在では80社以上の「物流向けにサービスや商品を提供する」企業が参加しています。これだけの企業が参加しているというのは、物流業界における自動化・省人化のニーズが高まっていることを示す証拠ともいえます。

藤﨑氏は、「習志野 Techrum Hubでは、最新の技術を用いた実証実験が行われており、実際の運用環境でその効果を検証することができます」と述べています。この施設では、ロボティクスやAIを活用したソリューションが実際にどのように機能するかを確認し、最適な運用方法を見つけることができます。

野村不動産・都市開発第二事業本部 物流事業部 副部長 兼 事業企画課長 藤﨑潤氏

また、大月氏は、「習志野 Techrum Hubは、企業間の連携を促進する場としても機能しています」と説明しています。参加企業はこの施設を通じて、自社の技術を他社と共有し、共同でソリューションを開発することで、より効果的な物流システムを構築することができます。

野村不動産・都市開発第二事業本部 物流事業部 事業企画課 主幹 大月拓真氏

物流倉庫の高機能化の取り組み

野村不動産は、物流施設の自動化・省人化を推進するために、多様なソリューションを提供しています。例えば、ロボティクス技術を活用した自動搬送システムや、AIを活用した在庫管理システムなどが導入されています。藤﨑氏は、「習志野 Techrum Hubには最新の自動化機器が並べられており、参加企業は実際に機器を見て、触れて、その効果を体感することができます」と述べています。これらの技術は、労働力の削減や業務効率の向上に大きく寄与します。

大月氏は、「展示物を並べ替えて、物流の川上から川下までの流れを体感できるようにしています」と説明しています。これにより、参加企業は自社の物流プロセスにどのような改善点があるかを具体的に把握することができます。

また、展示場に参加する企業は、物流向けITベンダーやマテハンメーカーなど多岐にわたります。各企業が持つ技術やノウハウを共有し、より高度な物流システムの構築が可能となります。大月氏は、「展示を通じて自社製品のPRや販路拡大を図ることができます」と語り、習志野 Techrum Hubの価値を強調しました。

横浜杉田プロジェクトと共創の未来

さらに、野村不動産は現在開発中の物流施設「Landport(ランドポート)横浜杉田」において、新たな試みに着手しています。テクラムにも参加しているIHI物流産業システムと協業し、自動倉庫を従量課金制でテナント企業に提供する取り組みを始めています。これは、テクラムを通じて生まれた「共創」の成果ともいえます。

藤﨑氏は、「この取り組みは、テクラムによって得られた技術とノウハウを基にしており、企業間の連携が新たなサービスを生み出すことができることを示しています」と述べています。大月氏も、「テクラム参加企業同士が連携して新たなサービスを提供することで、物流業界全体の効率化と競争力向上が図れます」と強調しました。

横浜杉田での試みは、野村不動産にとって実験的でチャレンジングな取り組みですが、このトライアルが機能し、テナントの皆さまに支持されれば、同社の物流事業に倉庫の提供だけではない変化をもたらす可能性も秘めています。この試みが機能すれば、同社が運営するほかの物流施設でも、さまざまな「新たな共創」を進めていく方針です。

今後の展望

野村不動産は、物流業界の発展を目指し、物流の上流から下流までのプロセスをカバーするソリューションを提供しています。展示場は、今後も物流業界のニーズに応じて進化を続けます。例えば、配送業務やラストマイル配送など、より細分化された物流プロセスに対応するソリューションを提供する予定です。これにより、物流業務全体の効率化が一層進むことが期待されます。

また、展示場は物流業界だけでなく、異業種からの参加企業も増加しています。例えば、コンサルティングファームやIT企業、リース会社など、物流分野向けにサービス・商品を提供する企業の幅が広がってきています。展示場はますます多様化し、より高度なソリューションが提供されることが期待されます。さらに、展示場は最新の技術を取り入れた高度なソリューションへと次々に更新されています。AIやIoT技術を活用したスマート物流システムや、5G通信を活用したリアルタイムデータの活用など、物流業務のさらなる効率化につながりそうです。

テクラムは、物流倉庫の高機能化を実現するための重要な場となりました。物流企業や荷主企業、ITベンダーやマテハンメーカーにとって、この展示場は最新技術の導入や業務効率化のための有益なプラットフォームです。また、「Landport習志野」内の「習志野 Techrum Hub」や「Landport横浜杉田」での取り組みは、テクラムを活用した新たなサービスの創出と共創の可能性を示しています。

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