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改正物流法でも注目浴びる
「バース予約システム」とは

物流業界全般

政府による物流危機への対策は、規制的措置を含む物流関連2法の改正で新たな局面を迎えています。6月1日から施行された改正流通業務総合効率化法は、物流業界に携わるすべての事業者にとって「効率化」が義務となりました。

政府は、効率化、なかでもトラックドライバーの荷待ち・荷役時間削減のためのソリューションを例示しており、「バース予約システム」を名指しして導入を呼びかけてきました。

23年4月に公表した経済産業省、国土交通省、農林水産省が共同で発表した「荷主事業者の物流情報の把握状況等に関する実態調査結果」で、荷主のバース予約システムの導入実績についての調査では、「バース予約システムを導入している荷主は約7%」「このうち、すべての拠点に導入しているのは1%」という結果が報告されています。発着荷主の「荷待ち・荷役時間の把握状況」は10〜20%と、荷主が主導しての荷待ち・荷役状況の把握もまだ不十分なことが明らかになっています。荷待ち・荷役時間を2時間以内に、さらにその削減を進めようとする改革において、そもそも削減すべき無駄な時間があるのか、どれくらい時間削減すれば良いのかがわからなければ、取り組みようもないはずです。

国交省は貨物自動車運送事業法の違反原因行為について、荷主に起因する違反のうち43.1%が「長時間の荷待ち」であったことを23年3月に発表し、特に悪質なケースに改善要請を行ったことを明らかにしています。こうした実例をきっかけに、荷待ち・荷役の2時間ルールと、その対策としてのバース予約システム導入の積極的な呼びかけへとつながったのではないかと思われます。国が積極的に荷主への対策を行うことで荷主の行動変容が促され、荷待ち・荷役状況の可視化への取り組みが進行していくことにも期待したいところです。

バース予約システムで荷待ち削減と改正法へ対応

バース予約システムは、トラックドライバーや運送会社が事前にバースでの入荷時間を予約し、到着時の順番待ちではなく、予約時間をもとにしたバース作業を行えるツールです。バースの混雑を緩和・解消することができるので、システム利用者だけではなく、バースを持つ施設全体の作業の円滑化にも貢献します。

さらにトラックの動態管理システムの機能装備や、運行管理システムと連携することによって、予定到着時間のズレなどにも柔軟に対応して、より効率的なバース管理へとつなげることもできます。トラックが今どこにいるのかがわかることで、バースだけではなくその前後工程ともスムーズに連携するなど、サプライチェーンの広い領域での効率化を進めることも可能となります。配車管理システムによって生成された最適ルートと組み合わせて、複数拠点で計画的な荷下ろしができれば、1運行単位の最適化にも大きく貢献できるはずです。

改正流通業務総合効率化法では、各社の物流効率化の取り組みが検証されることとなります。国が定めた判断基準に基づき、取組状況によっては指導・助言、調査・公表も実施されます。また、一定規模以上の特定荷主には、中長期計画の作成も義務付けられ、その実施状況に応じて勧告や命令も発出されます。かねてより、国が導入を促していたバース予約システムでの効率化を実施することは、課せられた努力義務や、効率化の計画としてしっかりと評価される施策であることは間違いありません。もちろん、拙速な導入で荷待ち時間削減で逆効果になっては意味がありません、しっかりと現状の荷待ち・荷役状況の把握に取り組むことから、改革する姿勢を打ち出すことが大切になります。バース領域のDX(デジタルトランスフォーメーション)によって何が変わっていくのか、定点観測で自らの取り組みの効果を実証するためにも、導入する意義は大きいのではないでしょうか。車両の入退場記録をデジタル化できることは、それぞれの取り組み自体も可視化し、今後強化されるであろう監査などにも適切に対処できる体制を整えることにもなります。

バース予約システム導入の道すじとは

では、具体的な導入検討において、重要なポイントとは何でしょうか。こればかりは、それぞれの事情に応じた決断が必要となり、これが正解と言えるものはありません。

導入コストなどはもちろん、必要なタイミングでの呼び出し機能や、運行管理機能、配送ルート提案機能、カメラ検知による入退場管理機能など、さまざまな機能を備えたり連携できるソリューションもあり、今それぞれの管理するバースで何が課題となり、何を必要とするかなどが、選択の重要なポイントとなるでしょう。まずは現状把握こそが、バース最適化の入り口です。

また、物流倉庫で運用するシステムとして倉庫運用の効率化に関わるシステムなので、施設を介して導入をバックアップする動きも盛んになっています。入居する物流施設側で、有用性の高いバース予約システムとテナントをつなぎ、導入の効果検証を支援するなど、運用シーンを具体的にイメージしながら検討できる環境を整えています。こうしてみると、物流施設は、単なる荷物の保管場所ではなく、最新の効率化ソリューションやDXを検証するステージになったといっても良いのではないでしょうか。

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