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物流施設の立地はどう決まる?
~担当者に伺う用地仕入れの舞台裏~

物流業界全般

2024年問題によるトラックドライバーの働き方改革、運送料の高騰など、物流施設を取り巻く環境は目まぐるしく変化しています。こうした状況に柔軟に対応するため、物流施設の用地仕入れ(不動産取引のために土地や建物を仕入れること)にも従来通りではない、新たな取り組みが求められつつあります。

物流施設とは切っても切れない関係にある施設の用地仕入れについてLOGISTICS TODAY編集長の赤澤裕介氏に、野村不動産の物流施設「Landport」シリーズの用地仕入れを担当する東城雄大氏と柳澤俊豪氏を取材してもらいました。

<右>野村不動産株式会社 都市開発第二事業本部 開発部 開発二課長 東城雄大氏
<左>野村不動産株式会社 都市開発第二事業本部 開発部 開発三課長 柳澤俊豪氏

に聞く
(インタビュアー: 赤澤裕介LOGISTICS TODAY 編集長)

用地仕入れという仕事の本質は「物件の魅力を伝えること」

赤澤裕介氏(LOGISTICS TODAY編集長)
今回お話を伺うのは野村不動産で物流施設の用地仕入れを担当されている東城さんと柳澤さんです。

東城雄大氏(野村不動産株式会社 都市開発第二事業本部 開発部 開発二課長)
私と柳澤は同期で、それぞれ入社16年目です。私は入社以来、分譲マンションや賃貸マンション、ホテルなど、さまざまな用地の仕入れに携わってきました。物流は資本規模が大きく、マンションやホテルとは違い、個人間でのミニマムなやり取りが成立しにくい点に難しさとやりがいがあると感じています。

野村不動産株式会社 都市開発第二事業本部 開発部 開発二課長 東城雄大氏。

柳澤俊豪氏(野村不動産株式会社 都市開発第二事業本部 開発部 開発三課長)
私は入社当初マンションの販売部隊にいました。そちらで3年経験を積んだ後、ビルのテナントリーシング(不動産の賃貸を支援すること)にも3年ほど携わりました。ここ10年は物流施設を担当しています。

野村不動産株式会社 都市開発第二事業本部 開発部 開発三課長 柳澤俊豪氏。

赤澤氏
一般の方の中には「用地仕入れ」という業務の実態をうまくイメージできていない方もいらっしゃると思います。お二人のお仕事を雑誌や出版に当てはめるとしたら、どういったポジションになりますか?


柳澤氏
私たちの仕事は「作家を見つけてくる」、いわゆる編集のようなものだと思います。テナントさんにいかに物件の魅力を伝えるか、いかに好条件で借りていただくかを考えることが大切で、その素材を探しにいくのがメインの業務です。

東城氏
私たちのセンスに依存するような仕事ではないですね。もちろん完成後のイメージはしっかり持って臨みます。入ってきた情報を分析して「こういうことができそうだな」という物件のイメージが見えてくると興奮します。

赤澤氏
住宅や商業用の施設とは違い、物流施設は建物自体で差別化をはかるのが難しいと思います。やはりロケーションありきでの提案になりますか。

東城氏
もちろんロケーションは大事ですが、物流施設にもさまざまな商品性を持たせることができると思います。野村不動産の強みはリーシング、事業部、運営部隊などがそれぞれの意見を持ち寄って物事を決める点にあります。建物に付加価値をつけるために皆で力を合わせているんです。

赤澤氏
なるほど。社内の意見をまとめ、理解した上で仕事に取り組むことが重要なわけですね。仮にそういった制限を受けずに自由に物流施設をつくれるとしたら、どういったものを構想しますか?

東城氏
私は社内からの要望を制限とは捉えてはいません。社内で一丸となって、よりよいものをつくることが重要だと考えていますし、それをやりがいにしたいと思っています。

柳澤氏
私は都内近郊の物流施設が強いと思います。物流業界は変化が激しく、刻々とニーズが変わっていきます。しかし消費地に近く、それでいて大規模な施設は時代の影響を受けない究極の物件になれるポテンシャルがあると思います。

野村不動産による「都市型物流施設」構想

まずは野村不動産が用地を取得するまでの流れを詳しく見ていきましょう。

用地仕入れはその土地のディープな情報を収集するところから始まります。地元の企業、仲介業者、物流会社に話を聞き、情報が集約していく人や用地に適した場所を徹底的にリサーチします。「土地というものは地元と密接に結びついています。そのため地元の情報通の方との連携はとても大切です。」と東城氏は言います。

「地方だと個人が土地を所有していることもめずらしくありません。そういった方々との協力体制を構築するには、地元で信頼されている方を通すのが一番よい方法です。」(柳澤氏)

土地の情報が入ると我々が計画を立て、それを事業部に持ち込みます。「その際には日頃からテナントさまのお話を伺っている営業部隊の意見をよく聞きます。プラスアルファの視点を持つためには、社内での連携が必須です。」(柳澤氏)

中長期的な視野を持つことも重要です。たとえば市街化調整区域(住宅や商業施設などを建設することが原則認められていないエリア)を区画整理し、市街化区域に編入するには年単位の時間がかかります。しかし、立ち上げの段階からしっかり地元と連携することで、より地域に根差した土地開発が可能になるのです。

近年、野村不動産は都市型物流施設の開発にも目を向けています。

「都市型物流施設」は、郊外型の物流施設立地条件と大きく異なる。

従来、物流施設は郊外に建設するのが一般的でした。しかしEC(電子商取引)化の普及による小分け配送の需要増、配送料の高騰などによって、主な消費地である都心に拠点を置こうとする動きも感じられます。そのため野村不動産は単なる倉庫ではなく、さまざまな用途を想定した複合型物流施設を構想しています。

その一例として挙げられるのが、個人宅への宅配を請け負う配送業者と、荷物のやりとりが頻繁に生じるオフィスが同居する施設です。キャパシティの関係上、物流施設1棟を配送業者が占有するのは現実的ではありません。そこで空きスペースには荷物の運搬が頻繁に生じる業者を迎え入れます。

ここではオフィス機器を取り扱う企業を想定してみます。そうした場合、故障したコピー機などを少しの間倉庫に搬入し、修理が終わったらすぐに配送するという流れが一つの施設でできます。こういった企業は騒音や耐荷重の問題で通常のオフィスには入居しづらい上、荷物のやり取りが非常に高頻度で発生します。都市型物流施設は「個別配送にしっかり対応しつつ、配送料も抑えたい」というニーズに対する1つの解答でもあるのです。

Landport運営で培ったノウハウがあるからこそできる提案

グループを挙げて土地の活用方法を模索すること、成約後のフォローにも力を入れていることが野村不動産の強みです。

野村不動産は使い方を決めてから土地を探すのではなく、土地を見つけてから活用法を模索します。そのため、よりその土地に寄り添った提案が可能です。こういったプロセスにおいては物流専門のデベロッパーではないことが、かえって強みになっています。

また庫内のオペレーションをはじめとした建物の運営、例えば自動倉庫の導入など、さまざまなメニューを盛り込んだ提案を心がけています。これはLandport運営で培ったノウハウがあるからこそできることです。

Landportの「等価交換方式」は、地権者との長期パートナーシップを想定している。

最後に赤澤氏が東城氏・柳澤氏に今後の展望を聞きました。

赤澤氏 今後の展望などあれば教えてください。

東城氏 野村不動産の物流施設は東京に集中しているので、今後はもっと地方に目を向けていきたいと思います。もちろん物件ありきの話にはなるのですが、地方と都心とのバランスを整える必要は感じています。

柳澤氏 プラスアルファの提案でLandportの付加価値を高めていくことが目標です。また、記事をご覧になっている方で「土地を売りたい」「売れるか相談したい」という方からの相談をお待ちしております。ホームページに窓口があるので、ぜひお気軽にお問い合わせください。(了)

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