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Landport横浜杉田、
先進設備で物流課題に挑む【後編】

プロジェクト紹介

前編記事では、LOGISTICS TODAYの赤澤裕介編集長が「Landport横浜杉田」の開発プロジェクトに携わる野村不動産の浅見梨紗氏と川本渚氏に取材する模様を中心に、地域との共生や立地上のポイント、建物のスペックについて詳しく説明しました。その中で赤澤氏が最も印象に残ったのは「みんなのコストを減らせる倉庫」という考え方だったといいます。後編記事では、その最大の特徴ともいえる「立体自動倉庫」を中心に、野村不動産がLandport横浜杉田で取り組む先進的な計画を紹介します。

まずは、自動倉庫に関するインタビュー取材の模様からどうぞ。

<左>野村不動産株式会社 都市開発第二事業本部 物流事業部 事業二課 課長代理 浅見梨紗氏
<右>野村不動産株式会社 都市開発第二事業本部 物流事業部 事業二課 川本渚氏
に聞く
(インタビュアー: 赤澤裕介LOGISTICS TODAY 編集長)

浅見梨紗氏(野村不動産 都市開発第二事業本部 物流事業部 事業二課 課長代理)
「Landport横浜杉田」に導入される立体自動倉庫は、最新のロボティクス技術を活用した高度なシステムです。テナント企業はこの立体自動倉庫を利用することで、従来の手作業に比べて大幅な効率化を実現できます。具体的には、入出庫作業が自動化されるため、人的ミスの減少や作業時間の短縮が期待できます。

野村不動産株式会社 都市開発第二事業本部 物流事業部 事業二課 課長代理 浅見梨紗氏。

赤澤裕介氏(LOGISTICS TODAY編集長)
一般的に、立体自動倉庫はテナント企業が自らの責任で導入しなければならないものと捉えられていますが、その投資は物流企業などにとってまだまだ負担が大きいですよね。それが物件にあらかじめ設置されていて、必要なときだけ利用できるということですか。

川本渚氏(野村不動産 都市開発第二事業本部 物流事業部 事業二課)
その通りです。この立体自動倉庫はシェアリング方式を採用しており、テナントは必要なときに必要な分だけ利用することができます。例えば、季節によって需要が変動する飲料業界や食品業界にとって、この柔軟な利用方式は非常に有効です。利用料は従量課金制となっており、初期投資を抑えながら高機能な設備を活用できます。

浅見氏
立体自動倉庫の導入により、テナント企業は大きなコスト削減が期待できます。まず、荷溢れした荷物によって従来発生する外部倉庫への搬送コストを抑制することができます。さらに、スペースの有効活用が可能となり、同じ面積でより多くの在庫を管理することができます。

川本氏
また、立体自動倉庫の利用により、労働環境の改善も図れます。高所での保管作業が減るため、従業員の負担が軽減され、安全性が向上します。これにより、労働者の満足度が高まり、長期的な労働力確保にも寄与します。

野村不動産株式会社 都市開発第二事業本部 物流事業部 事業二課 川本渚氏。

立体自動倉庫の導入で実現する効率化と柔軟性

「Landport横浜杉田」における立体自動倉庫の運用について、どのようなサービスとなるのか、さらに詳しく見ていきましょう。

立体自動倉庫の導入は、地域の物流需要の伸びと2024年問題への対応に苦慮するテナント企業のニーズを見込んだものです。特に、飲料や食品、雑貨などの季節波動のある業種が想定され、これらの業種に対して効率的な物流ソリューションを提供することを目的としています。

自動倉庫システムは、人手を介さずに自動的に荷物の出し入れができるため、物流プロセス全体の効率化が期待されます。従来の手作業に比べ、荷物の移動や保管が迅速かつ正確に行われることから、業務のスピードが飛躍的に向上します。

通常、自動倉庫は各テナント企業がそれぞれ導入を検討するものですが、本施設では共同事業者のIHIと野村不動産がIHI物流産業システムと連携する形で施設にあらかじめ立体自動倉庫を導入します。季節波動のある荷物に対応できるよう設計されており、物流業者が必要な時に必要な分だけ柔軟に利用できるシェアリングサービスが提供されます。これにより、テナント企業は需要の変動に応じて効率的に倉庫スペースを利用することができます。

IHI物流産業システムが設備導入と運用窓口を担当し、野村不動産は床を提供する形を取ります。これにより、物流会社は自社で高額な設備投資をすることなく、必要な時に立体自動倉庫を利用することが可能となります。このような運用形態により、コスト面での柔軟性も確保されそうです。また、隣接区画を利用するテナントとして3PL企業などを誘致し、立体自動倉庫のオペレーションを委託する方針も検討されています。

こうした取り組みによって施設全体の効率的な運用をサポートし、テナント企業がメリットを感じやすい施設として提供されることになりそうです。

自動化技術との連携で生まれる物流システム

Landport横浜杉田は、最新の自動化技術を駆使して物流プロセスを最適化することを目指しています。共同事業者のIHIと野村不動産がIHI物流産業システムと連携し、連携する形で施設にあらかじめ立体自動倉庫を導入します。このパートでは、自動化技術がどのように施設の効率性を向上させるかについて詳しく見ていきます。

まず、施設内には4,020棚(10レーン×5段)の立体自動倉庫が設置されます。この自動倉庫は、パレット単位で荷物を効率的に保管・管理するためのシステムで、3階と4階の一部に設置されます。立体自動倉庫により、保管スペースの最大限の活用と効率的な荷役作業が可能となります。また、各階へのスムーズな荷物の移動を実現するために、コンベヤー式搬送システムや垂直搬送機(リフター)も導入されます。

梱包などの資材保管も自動倉庫を活用し、全社分集約することでスペースを効率化。季節波動にも対応可能。

立体自動化技術の導入により、Landport横浜杉田は物流倉庫の日中の長期稼働が可能となります。これにより、時間外労働の削減や夜間の効率的な物流作業が実現します。特に繁忙期には、物流量の増加に対応できる柔軟性が大きなメリットとなります。また、施設内での人手による作業を減らすことで、労働環境の改善と安全性の向上も図られます。

また、シェアリングサービスとして立体自動化設備を提供することで、テナント企業は自社で高額な設備投資を行うことなく、最新の自動化技術を利用することができます。IHI物流産業システムが自動倉庫設備の導入と運用窓口を担当し、共同事業者のIHIと野村不動産は床を提供する形を取ることで、コスト効率を高めます。テナント企業は需要に応じて必要な分だけ設備を利用できるため、季節波動のある荷物に対応することが容易になります。

さらに、物流ロボットのレンタルサービスの提供も予定されています。ピースピッキングシステムやAIデパレタイズシステムなどの高度な自動化機器が提案され、作業の効率化と精度向上が期待されます。これにより、従業員の作業負担を軽減し、物流プロセス全体のスピードと品質を向上させます。例えば、ピースピッキングシステムは小規模なアイテムのピッキング作業を自動化し、AIデパレタイズシステムは積み重ねられた荷物の分解を迅速かつ正確に行います。

また、Landport横浜杉田では、リアルタイムでの在庫管理が可能となるWMS(Warehouse Management System)もレンタルサービスとして提供される予定です。これにより、在庫の可視化が実現し、在庫の過不足やミスを防ぐことができます。さらに、テナント企業は自社のシステムと連携することで、より効率的な在庫管理が可能となります。

立体自動倉庫のシェアリングサービスとマテハンロボットレンタルサービスによる効率的な物流運営

賃貸物流施設において初めて、施設内にビルトインで設置された立体自動倉庫のシェアリングサービスにより、テナント企業は高額な初期投資を避け、必要なときに必要な分だけ利用できる従量課金制を採用することができます。これにより、企業は繁忙期と閑散期に柔軟に対応し、コスト効率を最大化することが可能です。立体自動倉庫のシェアリングサービスについて、より具体的に見ていきましょう。

オープン・シェア型の物流拠点として、利害関係者のつながりと成長の好循環を生む物流施設の実現をを目指す。

まず、立体倉庫のシェアリングサービスでは、パレット保管や入出庫が可能なパレット自動倉庫を利用できます。保管料金は通常プランでは、1パレットあたり1,150円/期、入出庫料金は1パレットあたり600円/回です。これにより、企業は必要な分だけ倉庫スペースを利用し、無駄なコストを削減できます。また、長期予約プランも提供され、さらにコストを抑えることができます。

さらに、SkypodシステムやAIデパレタイズシステムなどの最新のピッキングシステムもマテハンロボットのレンタルサービスとして利用可能です。Skypodシステムは、GTP(Goods to Person)ピッキングを効率化し、1時間あたり400行のステーション処理能力を持ちます。AIデパレタイズシステムは、ケース荷下ろしやケースソーターへの投入を自動化し、1時間あたり450ピックの処理能力を持っています。

パレット保管を対象とし、各専有区画に加えて+αでの利用も可能。詳細のスキームは検証中。

Skypodシステムでは、ロボットが棚を直接作業者のもとに運ぶことで、ピッキング作業を大幅に効率化します。これにより、作業者は移動する必要がなくなり、作業効率が向上します。また、AIデパレタイズシステムは、AI技術を用いてケースの積み下ろし作業を自動化し、精度と速度を向上させます。これにより、作業の正確性が高まり、人手によるミスが減少します。

クラウド型の倉庫管理システム(WMS)や運行管理システムもレンタルサービスにて提供されています。WMSでは、在庫のリアルタイム管理、入出庫実績の追跡、商品マスタ管理が可能で、企業は在庫の可視化を実現し、効率的な在庫管理が行えます。運行管理システムでは、配車管理、ドライバー管理、トラックの動態管理が可能となり、輸配送業務の効率化が図れます。これにより、顧客への情報提供も迅速に行えるようになります。

テナント企業への手厚いサポートとサービス

「これは急なシフトの穴埋めや短期的な人手不足に対応するためのサービスで、2ヶ月間紹介手数料無料で利用でき、急なシフトの穴埋めや優秀なワーカーの無料引き抜きも可能です。」(浅見氏)

さらに、営業倉庫申請支援サービスでは、テナント企業が営業倉庫の申請を行う際に、野村不動産が全面的にサポートします。入居時の営業倉庫申請手続きを代行し、スムーズな運営開始を支援します。複雑な申請手続きを簡便に済ませることで、企業は迅速に営業活動を開始することができます。

テナント企業の区画に空き床が発生した場合には、野村不動産が入居希望企業の情報を集め、紹介します。このサービスにより、企業は空き床の有効活用が可能となり、無駄なスペースを減らしてコストの最適化につなげることが見込まれます。

寄託・転貸情報提供サービスも行い、企業のニーズに応じて柔軟な運用をサポートします。野村不動産がお客様から受領した寄託・転貸ニーズを紹介し、Landportの空き区画に限らず他拠点での空き区画の寄託・転貸先候補としても検討することが可能です。

このように、Landport横浜杉田はシェアリングサービスを通じて、企業のニーズに応じた柔軟な運用と効率的な物流プロセスを提供します。これにより、企業は高い投資リスクを負うことなく、最新の物流技術を活用して業務の効率化とコスト削減を実現することができます。

取材の最後では、赤澤氏が浅見氏と川本氏に「Landport横浜杉田の今後の展望」について質問しました。

赤澤
最後に、今後の展望について教えてください。

浅見氏
「Landport横浜杉田」は、地域社会との連携を強化し、持続可能な物流の未来を築くことを目指しています。テナントの皆様と協力し、効率的で快適な環境を提供することで、物流業界の変革に貢献したいと考えています。

川本氏
今後も地域の皆様やテナントの皆様と密接に連携し、共に成長できる環境を整えていきます。労働力確保や環境配慮の取り組みを継続し、未来の物流施設のモデルケースとなるよう努めていきます。

赤澤氏
今日は貴重なお話をありがとうございました。今後の展開に期待しています。

浅見氏・川本氏
ありがとうございました。(了)

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